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みのかも市報のコラムと「みのかもの山、望む山」について

 月に1度発行される美濃加茂市の暮らしの情報紙「広報みのかも」。生活に役立つ情報や各課からのお知らせなどを収載した充実した内容ですが、そのうち、表紙を開いた最初のページをご覧いただいたことはあるでしょうか。
 
 ここでは、現在みのかも文化の森が連載している「みのかもの山、望む山」というコラムについて、原稿になるまでの準備や調査など、記事の裏側を少しご紹介したいと思います。

↓過去の「広報みのかも」の記事はこちらから


これまでのコラムについて

 そもそも、広報みのかもの文化の森のコラム欄は長い間、みのかも文化の森の職員や専門の学芸員が担当していたのをご存じでしたか?それは、2000(平成12)年に文化の森が開館する前から始まったことで、地域の魅力につながるさまざまな資源やできごとを、このコラム欄を通して、みなさんに紹介しています。

これまでの文化の森連載コラムを紹介すると、ざっと以下のとおり。

人物みのかも  1985(昭和60)年5月号〜1986(昭和61)年3月号
ふるさと紹介  1990(平成2)年12月号〜1999(平成11)年3月号
偉人 坪内逍遙  1994(平成6)年4月号 〜1995(平成7)年10月号
化石は語る 太古の美濃加茂  1995(平成7)年2月号 〜1996(平成8)年5月号
津田左右吉物語  1995(平成7)年12月号〜1998(平成10)年12月号
彫刻を訪ねて  1997(平成9)年4月号 〜2000(平成12)年2月号
文化の森準備だより  1999(平成11)年1月号〜2000(平成12)年8月号
あーとフォーカス  2000(平成12)年3月号〜2003(平成15)年3月号
森コレ  2003(平成15)年4月号〜2004(平成16)年3月号
辻の風景  2004(平成16)年4月号〜2007(平成19)年3号
地名のはなし  2007(平成19)年4月号〜2009(平成21)年4月号
ていねいな暮らしのあったころ  2009(平成21)年5月号〜2012(平成24)年4月号
みのかも文化の森のタカラモノ  2011(平成23)年5月号〜2013(平成25)年4月号
高橋余一の「生活絵巻」  2012(平成24)年5月号〜2015(平成27)年4月号
美濃加茂新24景  2015(平成27)年5月号〜2017(平成29)年4月号
危機にあるあたりまえ  2017(平成29)年5月号〜2019(平成31)年4月号
バス停からの小さな旅  2019(令和元)年5月号 〜2022(令和4)年4月号
みのかもブックマーク 2022(令和4)年5月号 〜2023年(令和5)年4月号

↓文化の森ホームページで、すべての過去の記事をご覧いただけます

 収蔵品でイチオシのものを取り上げたり、美濃加茂市出身の歴史的な偉人だけでなく、地域の文化や産業の発展に寄与した人々を紹介したり、何気ない街並みにのこる歴史の痕跡をたどってみたり、市のあい愛バスで巡れる身近なスポットをご案内したり・・・・
 市の文化行政に携わる職員や専門の学芸員ならではの視点で、月ごとにさまざまなテーマで連載してきました。

新コラム「みのかもの山 望む山」

御殿山(三和町)から美濃加茂市内に連なる山々を望む(2022.11.26撮影)

新連載へのおもい
 今年度の5月号からは新たに「みのかもの山、望む山」という題名で、「」というものをテーマに連載をしています。
 
 美濃加茂市は、「飛山濃水」とうたわれる岐阜県の姿を体現するように、豊かな自然に囲まれています。北部を中心に山々に囲まれており、その山は河川とともにこの地の暮らしに大きな影響を与えその風土を形成してきました。最近は行楽などで山を散策する人も増え、その山頂からは市内だけでなく、はるか離れた遠方の景色を楽しむこともできます。
 山はさまざまな生き物にあふれ、それぞれの生態系を形成し、人々はその関わりのなかで里山として恵みを利用してきました。
 また、昔から山々は人の自然に対する感謝や祈りの場でもあり、山そのものに対する信仰も生まれるほどでした。一方で、歴史にのこる出来事の舞台となった山もあります。
 
 今回の連載では、この地域で身近に親しまれている数々の山と、この地域からはるかに望むことができる山々について、それにまつわる歴史や文化を紹介しながら、人と山々の関係を少し考えてみる機会になればと思っています。

掲載にむけた調査

まずは現地調査
 色づく紅葉も散り始めた昨年の11月下旬。まずは調査と撮影のため、初号掲載予定だった美濃加茂市最高峰の御殿山と、それに連なる平木山に登りました。
 
 山をテーマとした今回のコラム。図書館や博物館にこもって文献や資料だけを読み込み、山までは見ず、というわけにはいきません。
 今回のコラム執筆に限らずですが、文化の森での展示準備や資料調査などにおいて、現地における調査は大事で欠かせないことです。それが正確な情報につながるだけでなく、また私たち自身がその場所に身を置いて思いを馳せることで感覚的に感じることもあり、それにより、また気づきもしなかった新たな発見も生まれるものです。
 
 御殿山から縦走して、息も切れ切れでたどり着いた平木山の山頂。ふもとの人々が年に1度の雨ごいをしていたという頂上直下の開けた場所から木陰の先に目を凝らすと、なんと飛騨川に浮く下米田の小山観音が見えたのです。当時の人々も雨を祈りながら、豊かな水を湛えた雄大な川の流れを見つめていたのでしょうか。
 平木山について詳しくは、10月号の市報コラムに掲載予定ですので、ぜひお楽しみに・・・・

木々の切れ間から青柳橋と小山観音の浮島がみえる広報係と撮影へ

 今回はまた、山の全容を捉えるために、ドローンを用いて空からの撮影も行いました。
 ドローンの準備と操縦は広報係の方にお任せして、私たちはgoogleマップや国土地理院発行の地図などを駆使し、飛行に最適な場所を探します。近くに建物や電線などがあると法律上の規定で飛ばせないためです。
 
 いい場所が見つかりました。分解して収納された機材を箱から出して組み立て、スマホと繋げてテイクオフ。

空高く舞い上がるドローン、瞬く間に豆粒ほどの大きさに。

 そのため、今回のコラムの美濃加茂の山に関しては、普段見られない角度からの写真が掲載されることもあります。ぜひ鳥になったような気分で、文章とともにご覧ください。
 
 もちろん、それと並行して、その山に関わる歴史資料や郷土誌などの図書資料、蓄積された過去の調査記録なども参照します。時には地域の方々への聞き取りなども行いながら、さまざまな角度から「山」というものに迫っています。

さいごに

 これからもみのかも文化の森は、広報みのかものコラムを通して、地域の魅力につながるさまざまな資源やできごとを紹介していきます。
 今回の「みのかもの山、望む山」。さまざまな山のあれこれを紹介するなかで、みなさんの地域の風景に溶け込んでいる山々に対する思いが少しでもゆらげばと思っています。そしてもし余裕があれば、その思いを携えて、ぜひその山に足を運んでみてください。
 山によっては整備された道ばかりではないので、くれぐれも道中の安全や天気の変動にはお気を付けて・・
 
 また、文化の森の活動は、展示や講座など博物館の中だけでなく、広報紙のコラムをはじめ、みなさんの目に触れるような博物館の外でも行われています。その一方で、あまり目立たない地道な地域での調査も、あらゆることの根幹をなす大切な活動の一つです。文化の森のことについても、改めて興味を持っていただけるようなきっかけとなれば幸いです。

山の撮影帰り、ドローンで撮影した みのかも文化の森と美濃加茂市街