わたしの好きなみのかも(伊深地区)
美濃加茂市にゆかりのある人たちが市内の魅力を紹介するリーフレット「ミノカモ ストーリー」。特別なストーリーをもつモノ・コトを皆さんと共有しながら、2023年度にvol.3の発刊を迎えました。このnoteでは、美濃加茂市市制施行70周年記念誌「ミノカモストーリー」に掲載された方々のお話を、市内の地区ごとに(全8回)ご紹介していきます。
旧櫻井邸
美濃加茂市の里山の豊かさを象徴しているような伊深地区にある旧櫻井邸は、旧伊深村の村長で、加茂郡の郡会議員を務めた故櫻井福太郎氏が、肥料米販売店兼住居として大正5年から8年にかけて建築した木造二階建ての建物。装飾性にも優れ、貴重な近代和風建築として大切に保存されてきました。
そんな貴重な建物を後世に残していくため、里山にとって良い状態を指す「里山ウェルビーイング」を提唱しました。里山資源の地域内循環を目指し、里山から搬出された樹木を木工品に加工したり、製材や加工時に出る端材やおがくずを燃料に使用したりと、この旧櫻井邸を拠点に、地域内で小さな経済を回しながら豊かな里山を維持していくための一つのモデルを作りたいと考えています。
伊深地区には、歴史を大事にし、文化を丁寧に育んできた人々のコミュニティがあります。この旧櫻井邸を伊深(IBUKA)と文化(CULTURE)を掛け合わせた「IBUCAL(イブカル)」という名称で、里山資源の地域内循環を意識しながら、新たな里山文化を育んでいく場所として活用していきます。
ザ・田舎の夏休み
市北部の伊深町には水田が広がり山々の緑と空の青のコントラストを体全体で感じることができます。山際にまちが形成され、その南側に田んぼが広がっている風景がなんともいえません。吉田拓郎の「夏休み」を聴くと、日本全国どこにいても真っ先にこの風景を思い出します。
この地域は、日本の古代の土地区画制度「条里制」の名残りで現在もまっすぐに区画され、一面に広がる田園にその姿を感じ取ることができます。
伊深町では江戸時代、田んぼに、せきを造ったことによって、水争いが起きた記録や、不作が続き、年貢に苦しんだ人々が、旗本の江戸屋敷へ出向き直訴した歴史もあります。こうした歴史から平和な現代へとつながるこの里山は、いつまでも残していきたい原風景であり、僕の中の「ザ・田舎の夏休み」なんです。